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ハジメの一歩(34)

「今の方ですか」
「なにが?」
「首の後ろのキスマーク」
「あー…たぶん。 ……なに、ヤキモチ?」

言わなきゃよかったと後悔しても遅く、冷ややかに目を細め口元だけで微笑む望月が怖い。

「それよりなんか用事あったんじゃないの?」
話題を逸らそうとする佐々木の首元に唇を当て、痕が付くように強く吸うとすぐに離れた望月。そして耳元でゆっくりと一言を残し帰っていった。

…………なんだと?

その数分後にドアのノックと共にお盆を手にした夏生が、佐々木一人で立ち尽くす室内をキョロキョロを見渡す。

「アレ?いっちーも翔太さんも帰ったん?お茶持ってきたけど…」
「ナツ……なんだろう、おまえを見ると何か安らぐ……」
「ナニソレ。お茶、もったいないから店長にやる」

お盆に載せていた湯飲みをふたつ佐々木の前に置き、残ったひとつに自分も口を付ける。釣られて佐々木も手を伸ばしたがかなり熱い。

「おまえよくこんな熱いの飲むな」
「熱いものは熱く、冷たいものは冷たく。の方がウマいじゃん」
「口ん中ベロンベロンになるだろ」
「なる」
「じゃ後で圭くんに『ナツは口の中ヤケドしてるからキスは優しくね』って電話しといてやるよ」
「…うわーセクハラー」

眉間にシワを寄せて言いながらも夏生の顔は赤い。すぐ顔に出る彼を見ていると、適度に力が抜けていい。

あのふたりもなぁ…こんぐらい素直なら…ムリだけど。

帰り際に残した望月の言葉が頭を過ぎり、花巻の顔を思い出す。

『可愛い方でしたね。あの人に手出すのと、佐々木さんに執着するの、どっちが面白いと思います?』

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その一発でヤル気全開、尻を叩いてやってください。


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